トータルな再設計提案により費用圧縮とユーザーの利便性向上を同時に実現
新型コロナウイルス感染症の対策が進むなか、自宅でもできるPCR検査キットが開発されました。PCR検査では検体を医療機関へ返送する必要があり、その際には「カテゴリーB の感染性物質(UM3373)を輸送する際に求められる包装」の制限が課せられます。キットに必要となる、一次容器としての検体容器、二次容器として検体容器を入れるパウチ袋、万一の漏れを吸収する吸収材、さらにはそれを梱包する三次容器としての外箱と緩衝材など、多くの指示と留意点が世界保健機関(WHO)によって定められているのです。
セルフメディケーション関連企業のお客様側には、他社製造によるPCR検査キットが既にありましたが、「費用が高い」「利便性が悪い」と言った声が寄せられるようになっていました。そこで、パッケージの再設計だけでなく、内容物のブラッシュアップも含めたトータルな見直しで、費用圧縮とユーザーの利便性向上となる提案をしてほしいと当社へ依頼があったのです。
そのご要望を受け、私たちは各アイテムを精査し、費用圧縮の調整をしましたが、そこには付加価値を付けるプラスアルファの提案を心掛けました。アイテムごとにメリハリをつけることで、必要最低限かつ最大価値の創出が目標でした。
パウチ袋は、中国の生産工場に直接発注し無駄を省いて安価に。吸水材や緩衝材は、ジャストサイズに変更することで費用の圧縮を。外箱はデザイン性を重視し、販売力の向上へ。返信用外箱は、必要最低限の印刷仕様とし、「ゆうパック」から「ゆうパケット」サイズに縮小することでユーザー負担である返送費の減少に。さらにはユーザーボイスを尊重して、イタズラ防止に効果がある再剥離不可素材を封緘シールに採用しました。
全体を俯瞰し、かつ多方面のネットワークを駆使するリニューアルにより、付加価値を付けながらも制作費用の約8割減を実現させることができました。この提案にはお客様も大変喜んでいただいています。