2018年7月、広島県を豪雨が襲い、未曾有の土砂災害が発生しました。某大手証券会社から「その復興支援となるノベルティを作りたい」という相談をいただきました。広島県を応援したいというメッセージがしっかりと伝わる商品にしたいという、ハードルの高い要望でした。

取り掛かりとして広島県に関連する商品をピックアップしてみたものの、復興支援というメッセージとしては弱いものばかりでした。やはりアプローチ方法を根本から変えなくてはいけない。そこで、なぜ土砂災害が起きてしまったのかという点を調べました。

森や林には貯水能力があり、土砂崩れなどの災害を防ぐことはよく知られています。しかし、手入れのされていない森林は雑木林と言われ、その貯水能力も低くなってしまうことを知りました。森林の貯水能力を維持するためには、間伐をはじめとした森林管理が重要なのですが、被災地では森林管理が十分でなかったことが指摘されていました。

そこで、私たちは土砂災害の主な要因が「森林の貯水能力の低下」にあることに着目。森林の適切な管理保全が土砂災害のリスク低減につながるというプロットのもと、間伐材を使ったノベルティで災害地の未来に貢献できるという提案を行ったのです。

更には、ノベルティの加工工場に宮城県南三陸町を指定。新たな雇用を生み出すことで、東日本大震災への復興支援にもつながるという付加価値を加えました。

間伐材を利用することで森林管理が進み、自然災害に強い持続可能な地域づくりにつながる。このストーリーには、お客様も納得していただき、広島県産のヒノキ間伐材を素材としたノベルティ「アロマブロック」が採用されました。また、このアロマブロックは表面を削ることで香りがよみがえります。使い捨てではないという点でも、SDGsに配慮した商品とお褒めのお言葉をいただきました。